私はズット、布団をかぶっていた。

「椿、飯食いに行こうか」
兄ちゃんが静かに立つ。
「‥うん」
気分がのらない。

兄ちゃんは私の手を取り、くいっと引っ張った。
私は自然と立ち上がる。

「行こ、椿」
「うん」

私達は、ご飯を黙って食べた。
組員達は、雨の日は血の繋がった家族以外とは喋りたがらないと知っている。

ご飯を食べた後は私の部屋に戻って、薄暗い中兄ちゃんと2人がベッドに腰を掛けた。
沈黙が続く。

「早く、7月にならないかね」
「‥そうだな」

本当、早く7月にならないかな。