――「辞めたほうがいいんじゃないの?」
酒の缶を開けた。

―ゴクゴク
「ぷはっ。
やっぱビールだよな、うん」

「辞めないよ」
小さい声で、つぶやいた。
「そ」
私は素っ気なく返事をすると、ビールを一気に飲んだ。

―カタン
ガラステーブルに空の缶を置いて、
「おやすみ」
慶の部屋を出た。

あいつは、慶はヤクザには向いてない。

女は殺せないし、人を殺すのに少し躊躇するし、殺したら殺したで1日は放心状態だし。

あのとき、父さんがあたえたチャンスを自分からけるとは思わなかった。

私は、慶の事を考えながら眠りについた。