――バキ ドコ ドサ
「よえー。」
私の足元でのびてる男を見ながらつぶやく。

公園のベンチに座って拳をさする。
喧嘩をしすぎて、少し拳が悲鳴をあげていた。
なんだかムシャクシャして、人を殴りすぎたかな。

時間を確認すると、7時46分。
そういえば、兄貴が7時には帰れって言ってたな、と思いつつ。
空を見上げた。

―ポツ
空から落ちてきた一滴の水。
それは、しだいに強くなった。

―ザーッ
「ちっ」
急に雨が降ってきた。

―ピカ・・・ゴロゴロ
しまいには、雷まで鳴るしまつ。

家に駆け込んだ。

「あっれ」
いつもなら玄関まで迎えに来る母さん。
でも、迎えがない。

「寝てんのかな」
風呂場に行ってバスタオルを首にかけ、リビングのドアを開けた。

‥‥‥。
「きゃぁぁぁ」
腰を抜かして床に座り込む。
見たものは、衝撃的だった。

床に倒れて目を開けている母さん。
母さんのまわりには、血の海。
母さんの近くには、包丁。

明らかに、母さんは死んでいる。

私はどうしたらいいかわからず、取り合えず震える手で携帯を持った。