「いいよ、教えてあげる。
‥‥3年前――――。

――私は中1、兄ちゃんは高2だった。

私が学校から帰って来ると、母さんはいつもの用に玄関まで来た。
「お帰り」
「ただいま」
私はそれだけ言うと、いつもの用に母さんの横を通って部屋に向かった。

着替えて、部屋を出る。
「また、喧嘩しに行くのか?」

兄貴が玄関までやってきて、心配そうに私を見る。
「別に、いいじゃん?
兄貴だって喧嘩するんだし」

このときは、兄ちゃんのことを兄貴って呼んでた。
中1の餓鬼のくせに、喧嘩ばっかやってた私。

「今日は7時には帰って来いよ。
俺、泊まりだから、母さん1人にすんのは危ない」
兄貴は、父さんがトップの山本組をつぐ人だから、金曜は父さん家に必ず泊まりに行く。
そして、日曜の夕方に帰って来るんだ。

「はいはい」
適当に流して、家を出た。