――星野 椿――

話し終わった葵は、どこか苦しそうな表情を浮かべていた。

「葵は、そのとき、苦しくて悲しかった?」
何が言いたいんだって顔をして私を見る葵。
「それは、今まで葵が付き合ってた女の人達も、葵に振られたときに感じたんじゃない?
葵、自分がやった事は、必ずかえってくるんだよ」
そう、必ず。

「椿は‥なんで人のこと信じれねーの?」
「‥‥昔、山本組の組員に母さんを殺されたの。
第2の家族だったのに、その人が殺したんだ」
「そっか」

なんだか空気が重くなった。

「椿さ‥今好きな人いんの?」
「‥どうだろ」
「俺、椿の事が好きなんだけど」
可愛らしく笑って言う葵。

「へー、そうなん‥‥え!?」
「だから、俺椿の事が好きなんだよね」
照れ臭そうに笑う。

「な、何言ってんの」
動揺が隠せない私。

「‥ねぇ、よかったら付き合ってよ‥俺と」
「‥‥いいよ」
「ま、まじ!?」
「うん」