葵はユックリ席についた。

今何を考えているのか、眉間に皺が寄っている。

「なぁ」
葵はこっちに体を向け、私を見た。
「‥なに?」
顔だけを向けている私。

「‥椿の兄貴、いつだっけ?」
「3日後」
あれで通じる私達。
きっと葵は兄ちゃんがいつ退院するかきいてきたんだろう。

「もうすぐじゃん」
笑顔を作る。
葵なりに、どことなく気まずくなった空気をかえようとしているのだろう。
「まぁね」

私が素っ気なく答えると、葵は苦笑いした。
「俺が、なんで他人に冷たいか、なんで一目惚れが嫌いなのか、話すよ」
そう言って立ち上がり、ドアに向かって歩く。
私も葵について行く。

行った先は‥私達が初めて会った、図書室。
机を挟み、向かい合うかたちで座る私達。

そして、葵は話し出した。