それからの三ヶ月、翔にとっては毎日頭の…いや、腹の痛いことの連続だった。
痛いのはモチロン腹筋が割れるほど笑い転げて…という意味である。
とにかく彼女のやることなすこと、突拍子も無くて笑えるのだ。
腕の怪我が治るまでは、まるで親鳥の後を追う雛のように美羽の後ろをひたすらついて歩き、家事を覚えようとしていたさくらは、怪我が完治したとたん、張り切って手伝いをし始めた。
…のだが…。
これが翔の腹筋を鍛えた原因なのだ。
さくらの場合、とにかく家事が苦手などという可愛いレベルじゃない。多分経験値はゼロだと言っていいだろう。
誰でも一度は幼い頃に母親を手伝って皿を洗ったり掃除をしたりといった経験はあるはずなのだ。
どんなお嬢様であっても、義務教育課程では家庭科の授業があり、一通りの事を学ぶはずなのだ。
……普通ならば。
だが、彼女に経ってはどうもそれらしい経験すらないようだった。



