その日から三人の生活が始まった。
翔の母親美羽は明るく面倒見が良い為誰とでもすぐに打ち解けることができる。
姉御肌で人の良い性格の為、病気が悪化するまでは趣味のサークルや病院のボランティア仲間がしょっちゅう出入りしアパートは常ににぎやかだった。
だが入退院を繰り返すようになってからというもの、訪問者は次第に減りすっかり寂しくなったアパートに、以前のような快活な笑顔は影を潜め塞ぎ込むことが多くなってしまった。
心配をかけまいと明るく振舞ってはいるが、徐々に気弱になっていく母がいつか生きる気力をなくすのではないかと翔は危惧していたのだ。
さくらと出逢ったのはそんな時だった。



