「…桜?」
「あんたの名前。『さくら』だ。
俺の腕の中に桜の花びらと一緒に降ってきたあの時、俺はあんたが本当に桜の木の精霊じゃないかって思ったんだ」
言ってからかなり気障なことを言ってしまったと真っ赤になる翔に、さくらは釣られるように頬を染め、自分の名を何度も呟いてみた。
「わたくしは…さくら…素敵ですわ。
どうもありがとうございます」
「ああ、我ながらすげぇネーミングセンスだと思うよ」
ニッと笑う翔に、さくらはクスクスと笑った。
名前の通り桜の花びらがハラハラと舞うような愛らしい笑い声に翔は胸が高鳴るのを感じた。
彼女の笑顔と自分の反応に驚きならがも、心が温かくなるような感覚に頬が緩んでいく。
彼女を救ったのが自分で良かったと心から思った。



