ベッドサイドにいた翔のシャツを掴まれた感触に驚き視線をやると、そこには薄っすらと瞳を開けた彼女がいた。
視点の定まらない目で翔の顔をじっと見詰めた後、ぼんやりと室内を見渡し、最後にもう一度翔へと視線を戻した。
感情のない瞳にどう声をかけていいものか戸惑っていると、院長が先に口を開いた。
「目が覚めましたか?」
返事をするでもなく、翔から視線を外し握ったままのシャツへと移動する。
しばらく何かを考えていたようだが、ゆっくりと顔を上げると、院長の顔をじっと見つめた。
高端院長が静かな口調で彼女に質問を投げかけているのを、黙って見つめる。
窓から差し込んでいた西日は既に影を長くして、青白い彼女の横顔を僅かに赤く染めていた。
診察中に見ず知らずの男がいては、プライベートなことは話しにくいだろうと部屋を出ようとした翔は、シャツを握ったままの彼女の手を離そうとした。
…が、それは出来なかった。
彼女に名前を問う院長に対して、震える声で小さく呟いた言葉が余りにも衝撃的だったからだ。
視点の定まらない目で翔の顔をじっと見詰めた後、ぼんやりと室内を見渡し、最後にもう一度翔へと視線を戻した。
感情のない瞳にどう声をかけていいものか戸惑っていると、院長が先に口を開いた。
「目が覚めましたか?」
返事をするでもなく、翔から視線を外し握ったままのシャツへと移動する。
しばらく何かを考えていたようだが、ゆっくりと顔を上げると、院長の顔をじっと見つめた。
高端院長が静かな口調で彼女に質問を投げかけているのを、黙って見つめる。
窓から差し込んでいた西日は既に影を長くして、青白い彼女の横顔を僅かに赤く染めていた。
診察中に見ず知らずの男がいては、プライベートなことは話しにくいだろうと部屋を出ようとした翔は、シャツを握ったままの彼女の手を離そうとした。
…が、それは出来なかった。
彼女に名前を問う院長に対して、震える声で小さく呟いた言葉が余りにも衝撃的だったからだ。



