【中編】桜咲く季節に

「だがな佐々木、携帯の電源を切ったことを忘れたままってのはいかんな。営業マンにとって連絡が取れないのは致命的だぞ」

「…はい。申し訳ありません」

「お前、今日はもう帰れ」

「えっ!」

やっぱりクビなのか?と思わず立ち上がる。

その様子に社長はガハハと笑うと、心配するなと翔の背中をバシンと叩いた。

その勢いに思わず一歩前へつんのめる。

身体が大きいだけに、叩かれる力も勢いも半端ではなかった。

「今日は色々とショックで疲れただろうから、帰ってゆっくりと休めって言ってるんだよ。
クビになんてしないから安心しろ」

ホッと胸をなでおろす翔に社長は更にバシンと肩を叩いて笑った。