私は大きな鏡越しに自分の顔を見つめた。


そして次は私の髪をとかすルルアを見た。


鼻歌交じりに私の髪をブラッシングするルルアは、誰が見ても魔界の女王には見えなかった。


侍女のルルア。


それも今日で見納めね。


私は無表情で。


でもありったけの思いを込めて言った。


「ルルア。ありがとう」


「ふふ。マキ様、昨日と同じことを言ってらっしゃるわ」


ルルアは上品に笑いながら、私を見た。


私の髪に触れようとする、ルルアの手を優しく握った。


「今回のことだけじゃない。小さいころから不安定だった私に根気よく接してくれてありがとう」


お父様やお母様が私のことを見てくれない時でも、ただ一人。


ルルアだけは私を褒めてくれた。


私を見ていてくれた。