「マキ?」


響夏にギュッと手を握られて、私は我にかえった。


どうやら小難しい式典は終わって、パーティーにうつったみたいだ。


マイも宙も円香の姿も見当たらなくて、私はキョロキョロしながら言った。


「みんなは?」


「円香も宙もマイも、先に人間界に帰ったよ?」


「は!?私は明日までこっちにいる予定だったから、てっきりみんなもそうだと思ってたのに」


ていうか、何で帰ったの!?


私が首を傾げていると響夏は、使用人に差し出されたカクテルを受け取りながら言った。


「マキがこっちにいるあいだに、女バスが強豪校との練習試合が決まってさ。マイも円香も出場しなくちゃいけないから帰ったんだ。宙はマイがいないなら俺も帰るとか言って帰ったよ!」


なるほど…。


強豪校とか、聞くだけで大変そうだわ。


私もカクテルを受け取り、チビチビと飲む。


チラッと響夏を見ると、美味しそうにカクテルを飲んでいる。


私は一気にカクテルを飲み干すと言った。


「…響夏は帰らなかったの?」


そんな私の言葉に響夏はキョトンとして、あたかも当たり前のような口調で言った。


「何言ってんの。マキがこっちにいるのに、俺が帰る意味無いじゃん」


そしてニコーッと笑って私の片手を掴むと、私の耳元に口を寄せた。


「それに…せっかくマキと両想いになれたのに、離れるわけ無いじゃん♪」