私と響夏、宙もマイも円香も。


観衆の一員として、盛大な拍手をルルアに送った。


ついさっきまで、私がいるはずだった場所で、私の受け取るはずだった王冠を頭にのせ、会場全体に手を振っている。


小さい頃から思い描いていた私の夢。


いつか大きくなったら必ず私が王位を継いで、この国をもっと素敵な国にする夢。


目をつむれば、小さな私がうかぶ。


キラキラと光る銀髪を肩の上で揺らして、眉間にしわを寄せた不満顔の私。


『本当に良かったの?私、王位を継ぐためにこんなに頑張っているのに。自分だって未練があるんでしょう?本当は心のどこかで王位を継ぎたかったて思っているんでしょう?』


今よりも幼い刺々しい声が聞こえてくるような気がした。


確かに私は今でも王位を継ぎたかったって思っている。


この思いはそう簡単に消えてくれることは絶対にないと思う。


悔しいし、ルルアになんか譲りたくなかった。


でも私は学んだわ。


どうしても諦めたくなくても、自分が叶えたいことがあるなら、何かを手放さなくちゃならない。


それがいくら大事な夢だったとしても。


それを手放してでも、私は響夏といたいのよ。