円香ちゃんはゆっくりと頷いた。


私は円香ちゃんを見つめたまま言った。


「あのね、今から私と宙と響夏が行くのは魔界って場所なの。ほら、よく本とかに出てくるでしょ?マキ姉と私は魔界のお姫様で、人間界に来たのは修行のためなの。…今マキ姉は王位を受け継ぐためにお城にいるの。でもきっとマキ姉は王になりたくないんだと思うんだ。だから、私たちは今からマキ姉のところに行ってくる。そして、ちゃんと話を聞いてくる!」


私が一気に話すと円香ちゃんは言った。


「…私を利用するって言うのはどういうこと?」


ここで口を開いたのは宙だった。


「それはこの扉の向こうに行くためだ」


宙は扉を指差しながら続ける。


「現段階の王様。つまりマキ姉さんのお父さんが、マキ姉さんが王位を継ぐまて誰も魔界を行き来することができないように命令を出したんだ。でもマキ姉さんのお父さんはその命令を出す前に、もう一つ命令を出していんたんだ。俺と響夏以外に魔界人だとバレた場合、何があっても魔界に連れて帰るって言う命令。だから円香を利用させてもらったんだ」