あの日。


『恐怖の大迷宮』から出て来た私と宙に、響夏が「マキが魔界に帰った」と複雑な表情で伝えてきた。


それから何日もこうやって、薬を作ってがんばってるのに……。



私が涙ぐんでると、宙が私の肩を叩いて言った。


「ほら、マイ。学校行くぞ。帰ってから、また考えよう」


「うん……」


私は制服に着替える。


玄関を出ると寒くて身を縮める。


すると、宙が私の手を優しく握って微笑んでくれた。



私も微笑み返す。




「お二人さん?よくそんなイチャイチャラブラブできますね?」



私はその声にビクッと肩をふるわせ、後ろを向くと、不機嫌そうに私たちを睨む響夏がいた。



私はぎこちなく笑って言った。


「え、えと。響夏?」



「マキが1人で魔界に帰ったって言うのに、マイたちはイチャイチャ?ふーん?」



や、や、八つ当たりだぁぁぁ。


私はバッと宙の手を離して言った。



「わ、わかった!マキ姉が帰ってくるまで、宙とはイチャイチャもラブラブもしない!!」


響夏はもう一度、私と宙をジトーっと睨み先に歩いて行ってしまった。