「イエ……莉央さ……あ、名前も違ってたりします?」 湯呑みをテーブルに置いて柚季ちゃんがこっちを見る。 「いや、名前はそのままだから大丈夫」 「莉央さんが謝ることないですよ。美人さんでしたし。私、男だったら間違いなく惚れてました」 ふふ、と笑う柚季ちゃんの頭をぽんぽんと軽く叩く。 笑顔が痛々しい。 「無理しなくてもいいんだよ」 「…………うぅ……怖かったぁ……ごめんなさいごめんなさい」 じわりと涙を浮かべる柚季ちゃんの頭を寄せ、肩を貸す。 柚季ちゃんが落ち着くまで背中を撫で続けた。