少しの間そのまま抱きしめてくれた莉央さんに、何かがチガウ、と首を傾げ、少し体を離す。 頭、顔──あ、今日はメイクしてないんだな。でもコレじゃない──と上から視線を下ろしていく。 ……? 見間違い? ごしっと目をこする。 メイクが崩れた。 あ、泣いたからもうすでに崩れてたな。 莉央さんに目を戻す。 ……見間違いじゃない。 「…………莉央さん。胸、どこにやったんですか」 思わず疑問が漏れ、完全に涙が止まった。