扉付近に落ち着き、莉央さんを探すのを止めて手すりに掴まって足元に目を落とす。


それから二駅過ぎ、人に流されて反対側の扉まで流され、先程と同じような体勢で落ち着いた時、お尻に違和感を感じた。


通勤ラッシュだし、鞄かと思ったが、どうも違う。


痴漢か、と思ったところで腰に痴漢の手が当たり、服の裾からそれが入ってくる。


少し身体を動かしたが、まだ手は離れない。


「っ、ぁ……」


声が出ない。


莉央さんの言うとおり、ちゃんと女性専用車両に乗ればよかった。


怖い。


ぎゅっと目を閉じる。


助けて。