駐車場で、おはようございます!と隣の遠藤さんの部屋に居候している、遠藤さんの弟の寛人君が挨拶をしてくれた。
「おは……寛人君確か普通免許持ってたよね!?」
自分のバイクの脇に立つ寛人君を見て訊く。
「えっ?あ、はい」
「ゴメン、今日だけバイク貸してくれない?代わりにコレ貸すから」
俺の車のキーを見せると寛人君の目が嬉しそうに輝く。
「いいんですか!?」
「そっちの方が助かる。じゃあ、いいかな?」
「モチロンです!」
部屋の鍵も付いているキーをそのまま渡して、バイクの鍵を受け取るとすぐにバイクに跨る。
「ゴメン、急いでるんだっ。ありがとう!」
それだけ言ってバイクを動かす。
「えっ?あっ!これ部屋のカギ!?莉央さん!」
後ろで寛人君が叫んだが、それには応えずに駐車場を出る。