「やってしまった」という顔をする男に、追討ちのように「まだ何か言いたいなら、電話をくれれば時間を作る」と名刺を渡す。
名刺には、弁護士という肩書と俺の携帯の番号が印刷されている。
結構前の依頼で必要になったので作ったものだったが、役に立った。
これで諦めてくれると思うが……。
依頼人と事務所に戻り、濡れた服を着替えて後の手続きなどを済ませる。
学の風邪をもらっている上にびしょ濡れで外を歩いたおかげで体が重い。
ルークに早めに上がらせてもらったが、家に帰るとそのままリビングのソファーに横になった。

