「莉央さんどうしたんだろ?」


小さく言う。


『さぁ……?あ、咳してた』


「学のせいじゃん!」


思わず声を上げ、きょろきょろと周りを見る。


あたしを見た人はいない。よかった。


『……昨日のもあるのだろうが、学、今日は早く上がって帰れ』


呆れたようにルークが言った。


『昨日の』って何?


ホームまで行き、ちょうど来た電車に乗り込む。


さりげなくルークの後ろをキープする。


ドアが閉まり、電車がゆっくりと動き出した。