「莉央は?まだ来てないのか?」
と、奥の部屋からルークが出て来る。
「あ、そう言えば……。どうしたんだろう」
学はポケットからスマホを出して電話をかける。
「……出ないな。ルークと瑠稀ちゃんはもう出なきゃ間に合わないでしょ?莉央に連絡ついたら知らせるから」
「解った。瑠稀、行くぞ」
事務所を出るルークについて行く。
ビルの近くにあるバス停に行くと、すぐにバスが来る。
まだ乗客の少ないそれに乗り、後ろの方の席に座る。
「これ、付けておけ。それと──」
渡された骨伝導イヤーマスクレシーバーを右耳にかけながらルークの話を聞く。