進学を口実に家を出ることにした。
それは高1の時から思っていたことだが、関東のとある大学がいい条件で魅力的だったということもあった。
一般入試でその大学に受かり、高校を卒業すると同時に家を出て、大学の近くのアパートに入居する。
そのことを柚季ちゃんに伝えるため、大阪を発つ直前に、何度か連れて行ってもらったことがある柚季ちゃんの家を訪ねた。
玄関先に出てきた柚季ちゃんの前に片膝をついて屈み、目線を合わせて、もう一緒には遊べないと言う。
俺が言った言葉を反芻すると、柚季ちゃんはぼろぼろと涙を流し始めた。
懐き具合から想像はしていたものの、どうしたものかと頭を撫でていると、大きかった泣き声が急に小さくなる。
首を傾げた瞬間、柚季ちゃんが抱きついてきた。

