その頃から、あまり家には寄り付かなくなった。


平日は学校で下校時間ギリギリまで粘るか市立図書館に入り浸り、休日も友人と遊ぶかアルバイトをして時間を潰していた。


高3になると、家は寝に帰るような場所となった。


朝は早く起きて義姉弟に会う前に家を出て、夜は2人が自室に戻った頃に帰る。


両親は心配をしていたが、進路や勉強のことで先生に相談に乗ってもらっているなどと答えれば大体納得してくれた。



そんな春のある日。


学校の図書館が休館で、市立図書館に寄るもそこも休館で。


仕方なく家に近くもなく遠くもない公園の東屋でテキストとノートを広げ、勉強をしていると、どこからか泣き声がした。


顔を上げ、辺りを見回すと赤いランドセルを背負った小学2、3年生くらいの女の子がブランコに座って俯き、時折小さな手で目を擦っている。