「へ?あ、はい。解りました!」 本当に解ってるのかな……。 心配になり、降りる駅を訊くと、揚羽駅です、と返ってくる。 揚羽駅ということは、やはり大学生か。 あそこの駅の近くには俺の母校でもある大学がある。 お世話になった先生は元気だろうかと考えながら、なるべく離れないようにと彼女に言う。 そして、さっき彼女をちらちらと見ていたサラリーマンを横目で見る。 目が合ったサラリーマンはびくっと体を揺らし、慌てて目を逸らす。 今回探している痴漢ではなさそうだ。