宮間探偵事務所事件ファイル 4




景色を見て乗り過ごしてはいないと確認したのか、胸を撫で下ろす。


「目は覚めた?」


声をかけると、彼女が振り向く。


なぜか俺の顔を見つめていることに気付き、女装がバレたのかと一瞬不安になったが、今までそんなことは無かったと思い直す。


「どうかしましたか?」


「いえいえいえ!何でもないです!」


訊くと、胸を押さえる。痛むのか?


そこでガタンと電車が揺れ、窓に頭をぶつけそうになる彼女の肩を支える。


「どういたしまして。気を付けてね」


お礼にそう答え、先程の無防備な姿を思い出し、続ける。


「次からは、女性専用車両に乗ってね。それが無理なら、その車両になるべく近いところに」


2つ隣は女性専用車両だったよな、と目をそちらに向ける。