電車に乗り、2つ目の駅で乗ってきたたくさんの人に流され、今開いたドアとは反対側のドアの所にたどり着いたらしい大学生くらいの女の子が目に入る。
彼女はドアに背を預け、電車が動き出してしばらくするとすると目を閉じ、眠ってしまった。
こんな若い子が満員電車の中で寝るって、襲ってくれと言ってるようなものじゃないか。
それを裏付けるように、彼女の隣に居るいい年をしたサラリーマンがちらちらと彼女を見ている。
はぁ、と小さくため息を吐き、周りの人にすみません、と謝りながら彼女の前まで行く。
眠っているところを悪いが起こさせてもらう。
「起きて」
一言目では起きず、再び同じ言葉を言うと、彼女がパッと目を覚まし、窓の外を窺う。

