『まもなく揚羽駅です。お降りの際は──』
駅員のアナウンスに、鞄を肩にかけ直す。
あれから少しお喋りをしていたので、あっという間に時間が過ぎてしまった。
「じゃあ私、ここで降ります。お喋り楽しかったです!」
「いえ、こちらこそ」
「……えっと……私、宇佐美柚季(ウサミ ユズキ)って言います!」
あわよくば女性の名前を、と勇気を振り絞って言ってみる。
「え……」
女性は一瞬驚いたような顔をしたあと、私の顔を凝視して何やら呟く。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…