「……じゃあ、『東屋』はお母さんの名字なんだ?」


「いや。莉央が11歳の時に母親と再婚した相手の名字だ」


「へぇ……」


「まあ、再婚したあとも何かと大変だったようだがな」


「何が?」


「相手の方にも、2人子供がいたんだが、あまり仲はよくなかったみたいだ」


「……」


しばらくの間、黙り込む。


「……そろそろ帰るか?」


そう言われ、時計を見る。