「当たり前でしょ」
葬式にも来なかったクセに、アンタがそれを言うのか。
「ごちそうさま」
鞄を持って立ち上がる。
「もう行くのか?」
「ケーキを食べたら帰るって言ったはずだけど。それに、アンタと話す事はもうない」
「だが……」
2、3歩進み、男の真後ろで足を止める。
「これ以上引き留めるなら、この場で締め落とす」
いくら相手が成人男性でも、無防備な後ろからなら出来ない事もない。
「怖いな。仕方がない、また来月な」
ふっと男が笑って言った。
「そういう風に育てたのはアンタでしょ」
もう一度ごちそうさまと言って店を出た。

