事務所のドアを開け、中を覗き込む。
「あ、瑠稀ちゃん」
キッチンから、カップを6個載せたお盆を持った莉央さんが出てきた。
「こんにちわー。依頼人です……」
こちらに背を向けて座っている2人の男性を見て、『依頼人ですか?』と訊こうとしたが、その2人がこちらを向く。
「!?なっにやってんですか!」
やぁ、と手を上げた天野駆流に、ぺこりと頭を下げた伊吹梓を見て声を上げる。
変装しているとはいえ、超人気アイドルがこんな所で何やってるんだ。
「遊びにきたみたいだよ」
莉央さんは苦笑し、あたしの後ろを見る。

