「最初はお母さんにも美稀にも反対された」


「2人とも知ってたの?知らなかったの、あたしだけ?」


「まだ小学生だったお前に話せる訳ないだろう」


「……」


そりゃそうだけど。


みんな事情知ってる中で、あたしはお父さんの事ああだこうだ言っていたのか。


「まぁ、今じゃそれなりになったけどな。……美稀の葬式に行けなかったのは、海外にいたからだ。大きな取引だった。これがなければ、俺は今ここにはいられなかっただろう。


取引を終えて日本に戻ってきて、朝子──お母さんに、美稀が死体で見つかったと聞いた。俺は、美稀が行方不明になっていたことすら知らなかった……」


「っ……」


どこか痛そうな表情と、後悔がにじみ出ているその言葉の内容に息を呑む。


「……」