「……離婚した理由を聞いたことはあるか?」
「……ない」
けど、
「浮気したとかじゃないの?」
「そう思っていたのか?……言っておくが浮気じゃないから」
苦笑してから真顔で訂正する。
「じゃあ、何?」
「瑠稀からすれば、言い訳にしか聞こえないだろうな。……俺が会社を立ち上げたことは知っているよな?」
頷く。何かよく解らないけどIT関係の会社だったと思う。
「それがようやく軌道に乗って来た時にな、会計処理を任せていた創立メンバーの1人が不正を働いて金を持逃げされた」
「なっ……」
「それから支払いがままならなくなってな……家族に迷惑がかかると思って離婚した」
「は……!?」