12日


いつもの喫茶店に時間通りに入る。


いつもの席でコーヒーを飲んでいる男はあたしに気付くと、一瞬驚いたように目を開き、腕時計を見る。


いつもの席に座る。


「今日は早いな」


笑顔を浮かべて言う。


「……」


いざ本人を前にすると何て言っていいか解らない。


何も答えないあたしに、ふっと息を吐くと、鞄からいつもの封筒を出す。


「お母さんに渡しておいて」


それを黙ってしまう。


そこでミルクティが運ばれてきて、あたしの前に置かれる。