いくつか話をして、話題が途切れた頃を見計らい、


「病み上がりにする話ではないと思うが」


と前置きして話す。


「そろそろ父親の事を許してもいいんじゃないか?」


「……どういう意味?」


莉央の声が固くなる。


「事務所に害はなさそうだからと放っておいたが、結局莉央に迷惑をかけた。その詫びとは言わないが、最近後をつけてたヤツを調べた」


小さく息を吐いて続ける。


「莉央の父親は就職をして働いている」


「──え?嘘、でしょ」


「嘘ではない。瑠稀が会った翌日に、俺も会ったんだ。1年前から大阪の小さな工場に勤めているらしい。今回は、1週間ほど休みを取ってこちらに来たと言っていた」


「……」


驚いた表情のまま動かない莉央をちらりと見てさらに続ける。