莉央さんとあたしがカップを空にした頃、ルークが口を開いた。 「落ち着いたか?」 「……うん、ありがとう。瑠稀ちゃんも、さっきはごめんね」 さっき?と首を傾げ、受話器を奪うようにして取った事か?と思う事にして、大丈夫ですよ、と答える。 「父親か?」 「……そう。ごめん、迷惑かけるかも」 「それは構わないが……。大丈夫か?今日はもう上がっていいぞ」 「……そうさせてもらう」 莉央さんはハンガーに掛けてあったジャケットを取ると、力のない声でお疲れ様、と言って出て行った。