目を開けると、暗闇の中だった。
だんだん目が慣れてきて、辺りを見回すが、自分の家ではない。
う゛ぅ、と声が聞こえて横を向く。
学が掛け布団に巻きつかれて寝ていた。
今見ているのはきっと蛇に締められている夢だろう。
「……そうか、瑠稀ちゃんの家か」
熱で倒れたんだっけ。
上半身を起こす。
熱はもう下がっている。身体のだるさも残っていない。
枕元に財布と一緒に置いてあった携帯を取る。
「寛人君にバイク返さなきゃ……」
メールと電話が何回か来ている。
メールをするには非常識な時間だ。また後でにしよう。