タクシーを使って家に帰る頃には、女性──宇佐美柚季ちゃん──は笑顔で会話をできるようになっていた。


「んーと。ちょっと待っててくださいね」


部屋の鍵を開け、リビングのソファーに柚季ちゃんを座らせると、急いでお風呂を洗ってお湯を張る。


それから柚季ちゃんと自分にココアを淹れ、お風呂が沸くまでお喋りをする。


話題はあたしがなぜ探偵事務所でバイトをしているか、だ。


「──というワケで、宮間探偵事務所でバイトをしているのですよ」


「へぇ……バイト、大変?」


「依頼が立て込んでる時以外は別に……。平日は、放課後2時間くらい事務所にいるんだけど、依頼が無い時の仕事はお茶汲みだけなの。それでもちゃんと2時間分お給料くれるから、他のバイトよりはそんなに……。……太っ腹というかなんというか……」


大丈夫なのか?逆に心配になる。


まぁ、ルークと莉央さんだから大丈夫だろうけど。


「すごいねぇ……。そないに儲かってるん?」


いきなりの関西弁に驚きつつ答える。


「相場は解んないけど、依頼1つの報酬が高いからなぁ……。ところで、柚季ちゃんは関西出身なの?」