痴漢が隔離されている部屋のドアをノックすると、男の駅員さんが出てきた。
「少し、あの人に話があるんですけど」
痴漢を指差すと、駅員は怪訝そうな顔をする。
「ちょっとだけです。お願いします」
頭を下げると、渋々といった様子で部屋に入れてくれた。
中に入ると、ルークは扉に寄りかかり、あたしは痴漢の前にあるデスクに肘を付いて体を曲げる。
「ねぇ、おじさん」
笑顔を浮かべて、俯く痴漢に声をかける。
顔を上げた痴漢に、そのまま続ける。
「これと同じ制服着た子に痴漢した?」
制服が見えるように立ち上がり、自分の耳に上あたりに手をやる。
「背がこのくらいで、細い子なんだけど」

