『…ひ、輝…先輩?…なんですか?…やっぱり…。』
鈴鹿先輩の目が見開かれる。
『あ、文香………。』
『ですよね?輝先輩ですよねっ!?』
『っ……。』
『なんでそんな表情するんですか?そんなにわたしが嫌ですか!?』
『そんなわけねぇだろっ!?俺はずっと後悔してたよっ!お前に想いを伝えられなかったことも、別れの言葉もまともに言えなかったことも…。』
『………。』
鈴鹿先輩…いや、輝先輩の苦しそうな声が脳にやけの鮮明に響く。
想いってなに?
奪うとか言ってたのは本心?
何でそんな風に変わってしまったの?
『…ひ、かるせんぱい…。』
自分から出た声は弱々しい声
そのあとに何が続くのだろうか?
それはわたしにもわからなかった。
『文香…。』
優しい手つきでわたしの髪を梳く輝先輩は3年前と全く変わっていなかった。
爽やかな香りが鼻をかすめる。
てっきりタバコの臭いでもするのかと思ってたから
心が安心する。

