『…文香ちゃんっ!』
静かな教室に絢斗くんの声が響く。
『あや、とくん…』
ぎゅっと抱きしめられてなんとも言えない感情が駆け巡る。
『何もされてない!?大丈夫!?』
『うん。なぁんもされてないよ。』
『よかったぁ…。』
抱きしめる力がぐっと強くなる。
『文香ちゃんは俺が守るから。銀色なんかに渡さないから。』
いつになく真剣な瞳で言ってくるから心臓がドクンと高鳴る。
『うん。』
『だから…だから……
俺から離れないでね?』
『…うん。』
子犬みたいな表情の絢斗くんに胸が締め付けられる。
絢斗くんから絶対離れないから。
心の中でそうつぶやいた