『輝先輩ってなんでもできちゃうんですね!!』
『そう?』
『はい。勉強もできちゃうし、運動もできちゃうし…おまけに優しいから女の子にあんなにモテちゃうんですなぁ…』
(僕は文香ちゃんだけに見ててもらえればそれだけでいいんだけど…ね。)
あの日そのまま抱きしめて離さないと言っていれば?
好きだと言っていれば?
臆病なあの時の俺を恨んでも、もう戻ってこない時間。
中2の俺にはまだ早かったのだろうか。
中1の文香にはまだ早かったのだろうか。
それでも文香を自分のものにしていれば…
日向絢斗にとられることもなかったのだろうか。
そんなこと今になっては分からない。
残ったのは後悔と自責の念のみである。