ここの楽器店は意外と高級なものも取り寄せでなら扱っていて、初めてのヴァイオリンもここで買ったのを覚えている
私は正直ヴァイオリンよりギターの方が好きだったりする 好きなアーティストがエレキギターを弾いてるのを見て本当にかっこいいって思った
でも私の両親は私にヴァイオリンしかやらせてくれなかった 今はそれほどじゃないけど当時は言われてやること以上に嫌なことはなかった
「ギター好きなの?」
ふと、春仁さんに話しかけられる
「いやあ…好きなんですけど私はヴァイオリンしか弾けないんですよ ってか弾かせてもらえないんです」
「ヴァイオリン弾けるんだね!ヴァイオリンもかっこいいと思うよ?」
「そうだよ」
と、店の奥から店主のおじちゃんが出てきた
「あ!お久しぶり!」
「お久しぶりだね、どうだい?新しいのが入ったんだけど宣伝までに一回弾いてくれるかな?」
「いいの?」
「いいよいいよ、彼氏さんにもお手前披露したらどうだい?」
私は思わず顔を赤くしてしまう、春仁さんはワクワクした感じで私を見てる
「うん!何がいい?」
「なんでもいいよ」
私は弓を構え音を出した、相変わらずこの店のはいい音だなあ…
私はヴァイオリンを奏でた…
人が寄ってくるのがわかる、みんなは私をどういう目で見ているのだろう?ただ私の演奏を純粋に聞いてくれてるのかな?
それとも私を三好夫婦の娘だと思って聴いてるだけなのかな?
弾いてて涙が溢れた
