はんぶんこ


俺は外をぶらぶらと歩いていた 今日はここ最近で稀に見る豪雨で風も強い、そろそろ家に帰ろう…
その時だった、俺が昭を見つけたのは
もう午前一時は回ってるであろう時間に傘もささず泣いている少女、何かあったに違いない
「どうしたの?昭ちゃん」
俺は傘を昭の方に傾けて訪ねた すると彼女は有無も言わせず俺に泣きついてきた
「俺んち行こっか」
「うん…」


家に帰るとコーヒーを煎れてやり話を聞いた 昭は本当に勇気のある子なんだと思った
「それでね…それでね…?」
「もういいから…」
昭を抱き寄せた、数日前とは違う悲しみや悔しさに駆られたその表情は俺をも貫くようなものだった
「私のしたことに意味なんかあったのかな…?」
「あるよ 絶対に」

昭にシャワーを浴びせその後抱き合って眠りについた


翌朝、目が覚めた俺の横で昭はまだ寝ていた 昨日は相当泣いたんだろう…
ふと、昨日昭から聞いたことが頭をよぎる
俺はあの両親を突き放すことだって出来ないことはない
でもそれはかなり危険だし、あの二人がそれを望んでいない可能性だって高い
どんなに脅されても俺たちがあいつらを見捨てればあいつらは音楽家を続けて行けれることなんてありえないのだから…

俺があの時昭を自分のものにしたいなんて思わなければよかったのかもしれない
そうしていれば無駄に昭が苦しむことなんかなかったのかもしれない…
昭の笑顔を取り戻したい…
俺が思いついたのはいたって簡単な方法だった、