はんぶんこ

お母さんは優しい そして誰よりもいい人だと思っていた、今もそれを信じたい…だから私はお母さんと話すんだ
「紅茶でも入れましょうか」
お母さんは雰囲気を察したのか優しく聞いてきた
「うん…」
二人は小さなテーブルをはさんで真剣な顔で向き合った、こんなの初めてだったかもしれない

「お母さんはピアノ弾いてて楽しい?」
これはほんの余談だった
「もちろんよ、心が癒されるのよ とっても」

「それは自分が悪いことしたことからも逃げられるから?」
部屋の空気が変わった
「お母さんが悪いことを?」
「うん…お父さんもだよね?」
お母さんの顔が引きつっていくのを感じた
「…どんなこと…かしら?」

私は深呼吸を一つ



「お母さん達ってなんでそんなに有名になれたんだっけ?どんな支援があったんだっけ…?」

お母さんの泣き声を背に私は家を飛び出した