「せっち~~~~んんんんん!!」

 ノックもせず、せっちんこと仙太の部屋のドアを豪快に開ける空兎。彼もまた明日のテストに備えて机に向かっていた。

「えっと・・・・・・大体予想はつくなぁ」

 苦笑いしながら椅子を回転させる仙太。部屋が隣だけに先ほどの空兎の絶叫はちゃんと届いていたようだ。

「それなら話早い! ねぇ、一緒に―――」

「はいはい、わかったよ。一緒に勉強しようか」

 普段の行動は暴走的だけど、こういう一生懸命な所は結構可愛いんだよなぁとしみじみ思う仙太だったが、空兎の申し出はかなりの変化球だった。

「一緒に明日のテストを中止にする方法考えよっ!」

 キラリンと悪どい目を光らせる空兎に、仙太は思わず椅子から転げ落ちた。

「? 危ないなぁ、せっちん。椅子にはちゃんと座らないと」

「誰のせいだよ! てか、提案が無茶苦茶だ!」

「どぅわってぇ! 次の日曜日を笑って過ごすにはこれしか方法ないわよ!」

「勉強しろよ!」

「無理!」

 仙太の正論を逐一きっぱりと捻じ伏せていく空兎。不毛な言い争いが続くこと数分。

 二人は肩で息をするくらい体力を消耗していた。

「や、やるわね、せっちん! 私の理不尽をここまで正論で返してくるなんて!」

「理不尽ってわかってるんなら、もうやめなよ・・・・・・というか、この時間が非常に勿体無い。わからないところは教えるから、ノート持ってきなよ」

「フフフ、騙されないよ。そうやってアタシを疲弊させて、まんまと勉強させようなんて罠はとっくにお見通しなんだから!」

「いい加減にしろーーーーっ!!」