確か、土曜か日曜か祝日。

昼過ぎから、私と妹と小指のおっちゃんで出かけた。

小指のおっちゃんの車は普通の車だった。


今思えば、お洒落とかではなく、

乗れたら良い。
走ったら良い。

そんな感じ。

どんな車がカッコイイかなんて知らない。

大人の友達と車で出かけることに、意味があった。

私、カッコイイ。と。


「小指のおっちゃん、ピエロ行っきょん??」

妹が聞いた。

「たまーに行っきょんよ。」


小指のおっちゃん、行っきょんじゃ…。


私はコワイ顔の男性を思い出した。


「お母さんもあんまり来よらんなぁ。二人は全然来んなぁ。」

小指のおっちゃんが聞いた。

「ほなって、テレビ見たいんやもーん。」

妹がおどけてみせた。小指のおっちゃんは笑っている。

「お母さんは、おっちゃんと違って、誰とでも仲良いなぁ。おっちゃんと違うわなぁ…。」

小指のおっちゃんは笑顔から、だんだん、寂しそうな顔になった。


「違う」って…。仲良ーしたいのにできんのかなぁ。


「今、何処行っきょん。」

私は話を切り替えた。

「知り合いの所行くけん、待っといてくれる??すぐ終わるけん。」

それから少しして、着いたのは、白い家。綺麗な花がたくさん植えられている。

花に水をやっている女性が木陰から見えた。

彼女はこちらに気付いて動きが止まった。

小指のおっちゃんは軽く手を上げて車を降りた。



女性は、笑いもしない。