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ピシャリとドアが閉まったそこは、職員室

・・・ではなく

生徒会室




ようやく地面に足が着いた俺は、毎日のこととはいえため息つきながらパイプ椅子に腰を下ろす

「おまえ生徒会の役員じゃねーだろ。つぅか生徒会の奴らに了解得てココ入ってんのか?」

職員室のがナンボかマシだ
何が悲しくて俺みたいな人種は普通三年間一歩も足を踏み入れない生徒会室なんて所で犬猿の仲の風紀委員(しかも後輩)と二人きりになってンの

「生徒会の役員なんて俺に比べりゃ教師から何の信用もないですからねー。役員なんかより生徒会顧問に直談判で即許可おりますよ」


そうか。フザケた仕組みはよくわかった

アホ教師を巧いこと外っツラで信用させて生徒会出し抜いてこの一室を自分のもんにしてんだな?

・・・で

「おまえが人に取り入るのが得意なヤな奴ってのはよくわかったけどな、何やってんだ?」

「別に取り入るのが得意なわけじゃないですよ。相手が俺を勝手に気に入ってるだけです。あと俺は先輩の体温を全身で感じていますが何か?」


何か?――じゃねぇだろ!!ナニ当たり前のようにぬかしてんの?

俺がチビでヒョロいのもあるけど沢井はとにかくガタイがいい
身長は平均ぐらいか、まぁちょっと高いかぐらいなんだけど水泳やってるとかなんとかってツレが言ってたけど、そのせいかさすがの肩幅と筋肉量・・・

俺みたいなヒョロい体がこんなんに抱きつかれたらそのまま窒息死しそうだよ!

「沢井!てめ、オイって!俺は男に抱きつかれるシュミ無いんだよ!離れろオラ!」


ピクリともしない体に、無駄な体力使って暴れるのはやめて怒鳴りあげる

だけど沢井はそんなの聞いちゃいなかった

「ピィちゃん先輩」

「いや俺、鳥居だから。今更だけど」

そこも聞いちゃいない

「髪の匂いがいつもと違います」

・・・
うわー キモイ~
キモイんですけどこの人~

「ピィちゃん先輩。なんで?ついでに制服の下のシャツが昨日と同じだ」

カッターシャツの背中から、下に来てるTシャツの柄が浮いて見えるらしくさらにツッ込まれる