「ポチ。俺今日カツ丼食いたい気分」

―――ポチ、と呼ばれた一年の華奢な、一応男が元気に返事をする

「はいっ!んじゃ、俺今から買ってきますねっ!」

食堂の方向へ走り出そうとするのを、制服の後ろ首をつかんで止めた

「うぇっ」

首が絞まって変な声が出た、と思うとゲホゲホと咽だした

「おおげさ。つか、誰が食堂のつったよ。俺食堂のカツ丼不味いから食いたくねぇの」

咽込んで目尻に涙をためた後輩が俺の言葉に戸惑った声を出す

「え、じゃあどこで買えば・・」

俺は、さも当たり前のようにポチの問いに答える

「駅前の食堂。持ち帰りオッケーだから。今からダッシュすりゃギリ俺の昼飯に間に合うだろ」

ポチは教室に掛かった時計を見て、青ざめる

―――お。無茶言うなって言ってくるか?

・・・と、思ったら

「大変じゃないですか!超急がないと先輩の飯の時間が減るっ!!」

言い終わったか終わらないかのうちに、本当にもう、超ダッシュで教室から姿を消した